ワールド・チャンピオンシップ (World Championship) は、一般的にダーツで最重要とされるトーナメントである。 他のトーナメントと比べて、開催規模も大きく、賞金も高い。
1978年から1993年までは、ワールド・ダーツ・フェデレイション (WDF) のメンバーであるブリティッシュ・ダーツ・オーガナイゼイション (BDO) が開催するイヴェントしかなかったため、毎年1回であった。
しかし、他のスポーツでも見られるように、ダーツでも1993年に団体の分裂が起こり、現在のプロフェッショナル・ダーツ・コーポレイション (PDC) が誕生し、1994年から、PDCとBDOの両団体が、毎年それぞれのワールド・チャンピオンシップを、行うようになった。
本記事では、ダーツにおけるワールド・チャンピオンシップ全体の歴史と、複数あるワールド・チャンピオンシップの比較による解説を行う。
歴史
ダーツのワールド・チャンピオンとは
人類全てが参加するワールド・チャンピオンシップで決定したワールド・チャンピオンよりも、その名にふさわしいものはいない。 特に、ダーツでは、投げたダーツをボードに刺す以上の力を必要としないため、老若男女でプレイヤーを分けることなく、チャンピオンを決めることも可能となる。 それゆえ、全人類の中で頂点に立つワールド・チャンピオンを文字通りの意味で決定することもできる。
それでも、男女で見ると、特に筋力や体力を必要としない他のスポーツ同様、男子に強いプレイヤーが多いという現状は、ダーツにもあるものの、ワールド・チャンピオンシップに限らず、様々なダーツのトーナメントにおいて性別による出場資格があるときは、女子限定の場合が多い。 "Men's"などと明白な表示があったとしても、女子プレイヤーの参戦が認められることすらある。 それゆえ、実力に自信のある女子プレイヤーは、女子部門でなく無差別部門に参加し、真のチャンピオンを目指せる。 特に、小さなトーナメントや、大きなトーナメントでも初期のラウンドでは、女子プレイヤーが男子プレイヤーに勝利する場面も珍しくない。
次に、年齢について見てみると、多くのスポーツでは、体力と筋力のある若いプレイヤーが圧倒的に有利だが、ダーツにおいては、該当しない。 逆に、メンタル要素が非常に大きいスポーツであるダーツでは、年を重ねることによって、技術のみならず精神的に成熟し、有利に働くことも多い。 また、ダーツがボードに届くまでは、プレイを続けられるため、60歳を超えても主要トーナメントで活躍しているプレイヤーもいる。
しかし、他のスポーツより多くの人が集まってワールド・チャンピオンを決定できるダーツだが、現在、リードする2つの団体であるBDOとPDCのそれぞれが、別のワールド・チャンピオンシップを開催しており、同じ年に複数のワールド・チャンピオンが、誕生している。 しかも、参加する顔触れは、各トーナメントによって異なる。
それゆえ、同じ年のワールド・チャンピオンが、複数いてもよいのか、また、全員が参加していない状況で、ワールド・チャンピオンを決めてもよいのか、という問題が、浮かび上がってしまう。
各イヴェントの概要
現在行われているワールド・チャンピオンシップと名のつくイヴェントは、
- PDC ワールド・ダーツ・チャンピオンシップ
- PDC ワールド・ユース・チャンピオンシップ
- WDF ワールド・ダーツ・チャンピオンシップ
- WSDT ワールド・シニア・ダーツ・チャンピオンシップ
の4つである。 これらのイヴェントから、毎年チャンピオンが、"実質的に7人"誕生することになる。また、過去に行われていたワールド・チャンピオンシップの名を冠した大会は、
- BDO ワールド・プロフェッショナル・ダーツ・チャンピオンシップス
- PDC ウィメンズ・ワールド・チャンピオンシップ
の2つがある。
BDO ワールド・プロフェッショナル・ダーツ・チャンピオンシップス
BDOのワールド・プロフェッショナル・ダーツ・チャンピオンシップスは、男子部門 (Men's) と女子部門 (Women's) 、及びユース部門 (Youth) があり、これらが、同一のイヴェント内で行われている。 BDOのトーナメントは、基本的に男女別で、それゆえに、女子トーナメントも多く、ランキングも男女別である。 1995年に女子プレイヤーが、このワールド・チャンピオンシップの予選に参加することをBDOは認めているが、女子部門が併設されるようになった2001年以降、男子部門への参戦の可否は不明であり、予選などにも、女子プレイヤーの名は、見られない。
BDO ワールド・プロフェッショナル・ダーツ・チャンピオンシップスの特徴は、初開催が1978年という歴史の長さと地上波のしかも公共放送であるBBCで放送される点である。 これらは、BDOのチャンピオンシップを権威付ける大きな利点でもある。
なお、基本的に、このトーナメントかPDC ワールド・ダーツ・チャンピオンシップのどちらかに参加し、ラスト16になると、トムリン・オーダーにより、来年は、もう一方に参加できなくなる。 もちろん、両方とも予選に出場したものの本戦に到達できなかった場合は、翌年も両方の予選に参加することは可能である。
PDC ワールド・ダーツ・チャンピオンシップ
PDC ワールド・ダーツ・チャンピオンシップは、性別による区別が無い男女無差別戦であり、 "Men's" などの表示も無い。 現在、ワールド・チャンピオンシップに限らず、PDCのトーナメントは、基本的に無差別戦となっており、メインのランキングであるPDC オーダー・オヴ・メリットも、男女全てのプレイヤーを順位付ける総合ランキングとなっている (それゆえ、女子トーナメントだけ参加して、ランキング・ポイントを稼ぐなどという方法は選べない)。 このワールド・チャンピオンシップにおける女子プレイヤーの参加は、珍しくなく、日本で行われるワールド・チャンピオンシップの予選にも、女子プレイヤーが、参戦している。
実は、BDO ウィメンズ・ワールド・チャンピオンのタイトル最多獲得プレイヤーであるトリナ・ガリバーも、PDCのワールド・チャンピオンシップに招待されたことがあり、その時は本人も参加する意向であった。 しかし、BDOは、ガリバーの参加を良く思わず、他の女子プレイヤーも含めて、このトーナメントに参加したプレイヤーのランキング・ポイントを減らすと脅したため、ガリバーは、あきらめざるを得なかった。
初開催は、現役で活躍する全てのワールド・チャンピオンが参戦するという顔触れは豪華だったものの、WDC (現在のPDC) 設立プレイヤー以外の参加が少なく、賞金総額はBDOの半分以下と言うワールド・チャンピオンシップだった。 しかし、紆余曲折を経て、現在のPDC ワールド・チャンピオンシップは、開催規模も世界各地の予選から始まり、本戦の参加プレイヤーもBDOの2倍以上、開催日数は2倍弱、賞金総額は3倍以上という規模となっている。
また、参戦するプレイヤーは、日本を含めた世界各国から集まるため、自国のプレイヤーが出場する国での注目度は、自国のプレイヤーが参加しないBDOのものよりも、大きくなる。 本国のイギリスの視聴数は、Sky Sportsによる衛星放送のため、BDOのチャンピオンシップに大幅に負けているものの、世界規模で見れば、放送局はBDOよりも多く、日本を含めた様々な国で放送されている。 今日の日本において、ダーツのワールド・チャンピオンシップと言えば、このイヴェントを意味する。
現在、PDCで活躍する名実共に兼ね備えた多くの人気プレイヤーに、様々な地域からの予選通過者が加わり、世界最高峰のトーナメントとなっている。 しかも、PDCで実力を培ってきたプレイヤーだけでなく、元BDOのワールド・チャンピオンや、実力的にはBDOのワールド・チャンピオンになれたプレイヤーも、PDCへの移籍によって、頂点に押し寄せる層に年々加わり続けている。 そのため、PDCのレヴェルが上がり続けるだけでなく、BDOのレヴェルが下がり続けているので、近年、PDCとBDOの実力差がより大きくなっている。
PDC ウィメンズ・ワールド・チャンピオンシップ
PDC ウィメンズ・ワールド・チャンピオンシップは、プロフェッショナル・ダーツ・プレイヤーズ・アソシエイション (PDPA) のメンバーに限らず、18歳以上の女子なら誰でも参加できるオープン・トーナメントである。
基本的に老若男女が1つのトーナメントで戦うPDCは、BDOと比べて賞金も高く、PDCで活躍し成果を上げれば、BDOで成果を上げるよりスポンサーシップも受けやすい。 しかし、BDOで活躍する女子のトップ・プレイヤーが、BDO男子以上の大物達がそろうPDCで本格的にプレイするのは、ハイリスク・ハイリターンとなるため、BDOに不満があっても、簡単には踏み切れない状況にある。
このトーナメントと同じく2010年に導入されたPDC アンダー21・ワールド・チャンピオンシップと同じく、今までよりも多くの賞金とスポンサーシップ、そして、決勝戦出場者には、トップ・プレイヤー達と戦える機会を多く与えることにより、まだ経験豊富なプレイヤーが十分にいるとは言いがたい層の環境を様々な方面から整え、強化していくことを目的としている。
よって、BDOのウィメンズと異なり、PDCは、女子プレイヤーに対しても、このトーナメントを頂点と位置づけているわけではない。 また、BDOとは異なり、日程も7月に開催され、1月に開催されるPDC ワールド・ダーツ・チャンピオンシップとは、完全に別日程、別大会である。
決勝戦のみSky Sportsでテレビ放送され、ワールド・マッチプレイの準決勝後に、同じ会場のウィンター・ガーデンズで行われる。
このトーナメントは、同一年内や同時期に他のチャンピオンシップにも出場することが可能であり、初開催された2010年には、PDC ワールド・チャンピオンシップにも参加したアナスタシア・ドブロミスロワや、BDOのウィメンズにも出場したデタ・ヘッドマンなど、実際に同一年内に行われた他のワールド・チャンピオンシップにも出場するプレイヤーもいる。
PDC ワールド・ユース・チャンピオンシップ
PDC ワールド・ユース・チャンピオンシップは、プロフェッショナル・ダーツ・プレイヤーズ・アソシエイション (PDPA) のメンバーに限らず、16歳以上25歳以下 (決勝時点) のプレイヤーなら誰でも参加できるオープン・トーナメントである。
ダーツでは、体力や筋力よりも技術や精神面が有利に働くため、頂点を狙うプレイヤーに若いプレイヤーは、多くはない。 そのため、ユース・トーナメントを開催し、今までにないレヴェルの賞金と頂点を争うプレイヤーとも対戦する機会を多く与えることで、若年層の強化を図っている。
決勝戦のみSky Sportsでテレビ放送され、PDC ワールド・ダーツ・チャンピオンシップの決勝前に、同じ会場のアレクサンドラ・パレスで行われる。
このトーナメントは、同一年内や同時期に他のチャンピオンシップにも出場することが可能であり、初開催された2010年には、2011 PDC ワールド・ダーツ・チャンピオンシップにも参加したマイケル・ヴァン・ガーウェンやジョー・カレンなど、実際に同時期に行われた他のワールド・チャンピオンシップにも出場するプレイヤーもいる。
このトーナメントは、賞金設定や試合形式など、PDC ウィメンズ・ワールド・チャンピオンシップとほぼ同じであるが、PDCのウェブサイトのRoll of Honourでは、PDC Major Championsにウィメンズ・ワールド・チャンピオンシップは、入っているのに対し、このトーナメントは、入っていない。
ワールド・チャンピオンシップ
ここでは、1つだった頃のワールド・チャンピオンシップと、BDO ワールド・プロフェッショナル・ダーツ・チャンピオンシップスの男子部門、そして、PDC ワールド・ダーツ・チャンピオンシップの比較を中心に説明する。
決勝戦の結果
1978年から1993年まで
この期間のワールド・チャンピオンシップは、BDO ワールド・ダーツ・チャンピオンシップのみであった。
決勝戦の形式は、以下の通り。
- ベスト・オヴ・21・レッグズ (1978)
- ベスト・オヴ・9・セッツ (1979-1982)
- ベスト・オヴ・11・セッツ (1983, 1985-1993)
- ベスト・オヴ・13・セッツ (1984)
1994年以降
1994年より、PDC (当時はWDC) も、ワールド・チャンピオンシップを開催し始める。
決勝戦の平均値
以下は、それぞれの年の決勝戦における平均値である。 試合形式は、上の決勝戦の結果 (1978-1993, 1994-) を参照。
ワールド・チャンピオンシップの優勝回数
以下は、2023年の両ワールド・チャンピオンシップが終わった時点での統計である。
賞金
会場と開催期間
会場と開催期間の情報は、以下の通りである。 ただし、開催期間中試合が行われなかった日もあるが、その日を開催日数から差し引いていない。
収容人数 は、
- レイクサイド・カントリー・クラブ (1,100)
- サーカス・タバーン (800-900)
- アレクサンドラ・パレス (2,400-2,500超)
となっている。
テレビ放送
イギリスでの放送
レイクサイドは、地上波の公共放送であるBBCで初回から放送されてきた。 しかし、当初は抜粋された録画放送された試合のみであり、全試合が生放送で見られるようになったのは、2005年からである。
PDC ワールド・チャンピオンシップは、衛星放送であるが、初回から全試合が生放送されてきた。 2009年からHDチャネル、通常チャネルの同時放送が行われるようになり、2011年から準決勝と決勝のみ3D放送もされるようになった。
イギリスにおけるBBCとSky Sportsで放送された決勝戦の視聴数は、以下の通り。
世界各国でのテレビ放送
オランダのSBS 6は、BDOとPDCのどちらのチャンピオンシップも放送している。
トーナメントの統計値
プレイヤー数と出身国数
以下は、本戦に参加するプレイヤー数と、プレイヤーの出身国数である。
参加人数の左が、イングランド、ウェールズ、スコットランド、北アイルランドを別としてみた数、右が、イギリスを1つとしてみた数である。
トーナメント全体の平均値
以下は、各トーナメントで行われた全試合の平均値である。
トーナメント平均値上位記録
ウィメンズ・ワールド・チャンピオンシップ
ここでは、BDO ワールド・プロフェッショナル・ダーツ・チャンピオンシップスの女子部門と、PDC ウィメンズ・ワールド・チャンピオンシップについて、説明する。
両者とも女子プレイヤー限定のトーナメントといえども、様々な違いが存在する。
決勝戦の結果
2001年から2009年まで
2001年にBDOが、初めて女子プレイヤー限定のワールド・チャンピオンシップを開催した。 これ以降、BDOのイヴェントは、男女それぞれの部が存在するようになり、名前もこの年から"BDO ワールド・プロフェッショナル・ダーツ・チャンピオンシップス"と、複数形になる。
決勝戦の形式は、ベスト・オヴ・3・セッツである。
2010年以降
PDCがBDOを買収するという提案をBDOが拒否したことにより、PDCは2010年に新たな3つのトーナメントを導入した。 そのうちの1つが、女子プレイヤー限定のPDC ウィメンズ・ワールド・チャンピオンシップである。 PDC ウィメンズ・ワールド・チャンピオンシップが、初開催となった2010年は、BDOのウィメンズにも参加したプレイヤーもいた。
また、2010 PDC ウィメンズ・ワールド・チャンピオンシップの賞金総額は、2010年のBDOよりも2.5倍多く、チャンピオンの賞金は、BDOが£6,000に対しPDCが£10,000であった。 2011年のBDO ウィメンズは、チャンピオンの賞金のみ、2010年のPDC ウィメンズ・チャンピオンの賞金と、同額に設定された。
2020年のBDOの清算によってBDOワールド・プロフェッショナル・ダーツ・チャンピオンシップスの開催が終了すると、自動的にBDOからのウィメンズ・ワールド・チャンピオンも途絶えた。したがって、2023年現在、女子プレイヤーのワールド・チャンピオンを決定する大会は、WDF ワールド・ダーツ・チャンピオンシップのウィメンズのみとなっている。
決勝戦の平均値
以下は、それぞれの年の決勝戦における平均値である。 試合形式は、上の決勝戦の結果 (2001-2009, 2010-) を参照。
ウィメンズ・ワールド・チャンピオンシップの優勝回数
以下は、2020年の両ワールド・チャンピオンシップが終わった時点での統計である。
賞金
PDCのウィメンズにおける決勝戦出場者には、上記の賞金に加えてグランド・スラム・オヴ・ダーツの出場権への招待され、また2011年と2012年のPDC ProTourのカード・ホルダーにもなれ、Rileysによるスポンサーシップも受けられる。
会場と開催期間
BDOのウィメンズ・チャンピオンシップは、メンズと同じイヴェント内で行われるため、会場も開催期間も基本的にメンズと同じである。 しかし、女子の試合が行われない日があったり、決勝戦は、男子の準々決勝や準決勝の日に行われるなど、実質的な開催期間は、男子のものより短い。
PDC ウィメンズ・ワールド・チャンピオンシップの初開催である2010年は、予選を勝ち抜いてきた32人が、6月12日(土)にバーンズリー・メトゥロウドウムにおいて、準決勝までを行い、7月25日にブラックプールのウィンター・ガーデンズにおいて、ワールド・マッチプレイの決勝戦の前に、このウィメンズ・ワールド・チャンピオンシップの決勝戦を行った。
テレビ放送
イギリスでの放送
BDOのウィメンズ・チャンピオンシップについては、2005年よりBBC Twoで全試合が、放送されるようになった。
PDC ウィメンズ・ワールド・チャンピオンシップは、Sky Sportsで決勝戦のみ放送される (HDチャネル、通常チャネルの同時放送)。
トーナメントの統計値
プレイヤー数と出身国数
以下は、本戦に参加するプレイヤー数と、プレイヤーの出身国数である。
参加人数の左が、イングランド、ウェールズ、スコットランド、北アイルランドを別としてみた数、右が、イギリスを1つとしてみた数である。
トーナメント全体の平均値
以下は、各トーナメントで行われた全試合の平均値である。
ワールド・ユース・チャンピオンシップ
ここでは、PDC ワールド・ユース・チャンピオンシップと、BDO ワールド・プロフェッショナル・ダーツ・チャンピオンシップスのユース部門ついて解説する。
現在、ワールド・ユース・チャンピオンシップは、PDCのこのトーナメントにしか無く、BDOのトーナメントでは2015年から最終開催となる2020年まで行われていた。 WDFのユース・トーナメントには、WDF ワールド・カップやワールド・マスターズ、WDF ワールド・ダーツ・チャンピオンシップのボーイズやガールズなどがあるが、「ユース」として男女の区別無しにチャンピオンシップを開催しているのはPDCのみである。
PDCのトーナメントは、賞金総額や各ラウンドのレッグズ数、決勝戦のみ別会場でテレビ放送もされる点など、PDC ウィメンズ・ワールド・チャンピオンシップと設定がほとんど同じである。
しかし、ウィメンズ・チャンピオンとの扱われ方は、少々異なっており、PDCのウェブサイトのRoll of Honourでは、PDC Major Championsにウィメンズ・ワールド・チャンピオンシップは、入っているのに対し、このトーナメントは、入っていない。 また、このトーナメントの初代チャンピオンであるアーロン・モンクのスポンサーシップを行っているユニコーンも、決勝が同日に行われた2011 PDC ワールド・ダーツ・チャンピオンシップにおいて、初のチャンピオンになった同じくユニコーンのスポンサーシップを受けているエイドリアン・ルイスは、Maestro PremierからWorld Championsにグループが変わったが、アーロン・モンクは、Generation 180から変わっていない。
決勝の結果
2011年から2014年まで
PDCにおけるワールド・ユース・チャンピオンシップは、2011年に初めて開催された。
決勝戦の形式は、ベスト・オヴ・11・レッグズである。
2015年以降
2015年より、BDOもワールド・チャンピオンシップにユース部門を設ける。これにより、BDOからは毎年3人のワールド・チャンピオンが誕生することとなった。
決勝戦の平均値
以下は、それぞれの年の決勝戦における平均値である。
ワールド・ユース・チャンピオンシップの優勝回数
以下は、2023年の両ワールド・チャンピオンシップが終わった時点での統計である。
賞金
PDCのアンダー21・ワールド・チャンピオンシップにおける決勝戦出場者には、上記の賞金に加えてグランド・スラム・オヴ・ダーツへの出場権を獲得し、また2011年と2012年のPDC ProTourのカード・ホルダーにもなれ、Rileysによるスポンサーシップも受けられる。
会場と開催期間
PDC アンダー21・ワールド・チャンピオンシップの初開催である2010年は、予選を勝ち抜いてきた66人が、11月6日(土)にバーンズリー・メトゥロウドウムにおいて、準決勝までを行い、2011年1月3日にアレクサンドラ・パレスにおいて、PDC ワールド・ダーツ・チャンピオンシップの決勝戦の前に、このトーナメントの決勝戦を行った。
テレビ放送
イギリスでの放送
PDC アンダー21・ワールド・チャンピオンシップは、Sky Sportsで決勝戦のみ放送される (3Dチャネル、HDチャネル、通常チャネルの同時放送)。
トーナメントの統計値
プレイヤー数と出身国数
以下は、本戦に参加するプレイヤー数と、プレイヤーの出身国数である。
参加人数の左が、イングランド、ウェールズ、スコットランド、北アイルランドを別としてみた数、右が、イギリスを1つとしてみた数である。
BDO vs PDCのトーナメント
現在、数多くの大物プレイヤーが存在するPDC ワールド・ダーツ・チャンピオンシップのタイトルが、最も取得が難しいワールド・チャンピオンのタイトルであることは、上記より明らかである。 そして、フィル・テイラーが最強であることは、全員が参加するただ1つのワールド・チャンピオンシップを開かずとも分かる。
しかし、最強の者が、常にワールド・チャンピオンになれるとは限らず、全員が参加するただ1つのワールド・チャンピオンシップを開催するよりも、誰がワールド・チャンピオンとして相応しいかを決める方法は、存在しない。 2009年にダーツ界の分裂を解消し、ダーツを1つにしようと、PDCがBDOの買収を提案したが、BDOに拒否されてしまった。
現在、全員が参加するただ1つのワールド・チャンピオンシップを開催するとまではいかないまでも、それを別の形で実現しようとするイヴェントが、これまで何度か開催されてきた。 ここでは、それらのイヴェントを解説する。
チャンピオン・バーサス・チャンピオン
PDC ワールド・ダーツ・チャンピオンシップとBDO ワールド・プロフェッショナル・ダーツ・チャンピオンシップスの男子部門のそれぞれのワールド・チャンピオンを招待しての直接対決が、これまで2回行われている。
1回目は、1999年11月7日に、マッチ・オヴ・ザ・センチュリーというイヴェント名で行われた。 1993年のダーツ団体の分裂から、非公式だが初めて明白な形でワールド・チャンピオンを決定するイヴェントとなった。
2回目は、2004年11月21日に、ザ・ショウダウンというイヴェント名で行われた。
マスターズ・オヴ・ダーツ
マスターズ・オヴ・ダーツは、チャンピオンだけではなく、PDCとBDO男子の両サーキットから、トップ・プレイヤーを4人ずつ招集したトーナメントである。 会場は、オランダのヘンヘロにあるExpoCenterである。
1回目は、2005年2月7日に開催された。 これは、団体分裂の後、初めて行われた大きな対決トーナメントとなる。
PDCのプレイヤー
- コリン・ロイド
- ウェイン・マードル
- ローランド・ショルテン
- フィル・テイラー
BDOのプレイヤー
- トニー・デイビッド
- アンディ・フォーダム
- コ・ストンプ
- レイモンド・ファン・バルネフェルト
決勝戦は、テイラー対フォーダムという2004年のチャンピオン対決と同じ対戦となった。 前回は、テイラーが、5-2 (セッツ) でリードしていたと言えども、フォーダムの脱水症状によるリタイアのため、最後まで試合が行われない勝利となったが、この回は、無事最後まで行われ、テイラーが、7-1 (セッツ) と、はっきりした形で勝利を収めた。
2回目は、2007年2月に5対5のオランダ対イングランドの対決として、開催された。 もともとは、PDCとBDOの混合戦としてアナウンスされていたが、このイヴェントが始まるまでに、全てのBDO側のプレイヤーが、PDCに移籍していたため、このような対決となった。
インターナショナル・ダーツ・リーグとワールド・ダーツ・トロフィー
インターナショナル・ダーツ・リーグとワールド・ダーツ・トロフィーは、PDCのプレイヤーも招待されるBDOのトーナメントであった (現在、トーナメントそのものが、両方とも中止)。 もともと、両者ともオランダで開催されるBDOによるBDOに所属するプレイヤーのためのメジャー・トーナメントであったが、2006年より、オランダで大人気のレイモンド・ファン・バルネフェルトをはじめとするオランダのダーツ・プレイヤーが、PDCに次々と移籍したため、このトーナメントを放送しているオランダの放送局のSBS 6は、このトーナメントの人気を保つために、BDOにPDCプレイヤーの参加を認めさせた。
2008年、PDCは、これらのトーナメントにプレイヤーが参加するのを中止するのを発表する。 それを受け、SBS 6は、これらのトーナメントの放送を中止することにし、その結果、これらのトーナメント自体が終了した。
インターナショナル・ダーツ・リーグ
PDCプレイヤーが参戦する前も、移籍前のレイモンド・ファン・バルネフェルトが、3回中2回優勝 (合計では、5回中3回優勝) と、このトーナメントを征していた。 他の年におけるこのトーナメントのチャンピオンであるマーヴィン・キングとゲイリー・アンダーソンも、後にPDCに移籍している。
ナイン・ダート・フィニッシュ
2007年のインターナショナル・ダーツ・リーグでは、2人のプレイヤーが、ナイン・ダート・フィニッシュを達成した。 賞として、€26,000相当のオペル・ティグラが、それぞれに贈られた。
- フィル・テイラー (対レイモンド・ファン・バルネフェルト戦、5月8日)
- トニー・オシェア (対エイドリアン・ルイス戦、5月9日)
決勝戦の結果
決勝戦の形式は、以下の通り。
- ベスト・オヴ・15・セッツ (2002-2005)
- ベスト・オヴ・25・セッツ (2006-2007)
ワールド・ダーツ・トロフィー
PDCプレイヤーが参戦する前は、移籍前のレイモンド・ファン・バルネフェルトが、4回中2回、合計でも、6回中2回と、どちらも男子部門最多優勝となっている。
男子決勝戦の結果
決勝戦の形式は、以下の通り。
- ベスト・オヴ・11・セッツ (2002-2005)
- ベスト・オヴ・13・セッツ (2006-2007)
グランド・スラム・オヴ・ダーツ
グランド・スラムは、PDCとBDOの両主要トーナメントから、チャンピオンや決勝、または準決勝に到達したプレイヤーと、それぞれのランキング上位のプレイヤーが招かれるPDCのトーナメントである。
例年32名と人数も多く、ウィメンズ・ワールド・チャンピオンシップからも招待されるので、これまでの両団体の混合トーナメント以上に、その年における真のチャンピオンを決定するトーナメントとして、より相応しいものとなっていた。しかし、2020年のBDOの清算に伴い、2021年以降の大会からは出場者はPDCの選手のみとなっている。 なお、2007年と2010年のBDO メンズ・ワールド・チャンピオンになったマーティン・アダムズは、2007年から2009年まで、3年連続で招待を断り続けているため、PDCは、これ以上彼を招待しない決定を下した。
決勝戦の形式は、以下の通り。
- ベスト・オヴ・35・レッグズ (2007-2008)
- ベスト・オヴ・31・レッグズ (2009-)
脚注・参照
外部リンク
- PDC World Darts Championship PDC (英語)
- Lakeside World Professional Championships (英語)
- Darts Database (英語)
- PDC World Darts Championship Darts Database (英語)
- PDC Women's World Championship Darts Database (英語)
- BDO World Professional Darts Championships (Men's) Darts Database (英語)
- BDO World Professional Darts Championships (Women's) Darts Database (英語)
- Champion versus Champion Darts Database (英語)
- Masters of Darts (オランダ語)
- Masters of Darts Darts Database (英語)
- International Darts League Darts Database (英語)
- World Darts Trophy Darts Database (英語)
- Grand Slam of Darts Darts Database (英語)
- BARB (英語)



