インドネシア鉄道MH102形気動車(インドネシアてつどうMH102がたきどうしゃ、インドネシア語:Kereta Rel diesel INKA seri MH102)もしくは、KRDI(インドネシア・ディーゼル・レール・トレイン、英語:Kereta Rel Diesel Indonesia、インドネシア語:kereta rel diesel hidraulik)は、PT KAI(インドネシア鉄道会社)が2007年から2014年にかけて導入している一般型気動車である。

概要

インドネシアの鉄道車両メーカーであるPT INKAによって製造された、KRDIシリーズの液体油圧式ディーゼル気動車である。通勤列車用として設計されており、ジャワ島地区とスマトラ島地区の通勤路線に導入された。

非冷房車(非AC)と冷房車(AC)の両方や、導入年代や投入線区によって差異があり、軌間幅は標準軌(1,435mm)と狭軌(1,067mm)の2種類が存在する。2007年から2009年に製造された車両は非冷房車であったが、2010年以降には冷房車となり、全13編成が製造された。

車両概説

一次車(KRDI generasi 1)

インドネシア共和国運輸省は、ジャワ島とスマトラ島地域で気動車ベースの通勤列車の需要が高いことから、気動車をさらに導入する事となった。当時、BN-Holec電車から改造されたME201系気動車がプランバナン・エクスプレス線での好評と成功を受けて、運輸省は新しい気動車を購入することを決定した。

この気動車の名称はKRDI(インドネシア・ディーゼル・レール・トレイン)もしくはMH102形となった。エンジン部品は依然として海外製であるものの、車体や内装デザインは完全にPT INKAによる設計である。MH102形は、従来車よりも空気力学的な流線型を採用し、窓が短くなっている。初期に導入された一次車の特徴は、プラスチック製の座席でロングシートである。

一次車は、2007年から2008年にかけて3編成が製造され、価格は国家予算から1編成あたり300億ドルで製造された。エアコンは付いておらず(非冷房車)、トイレもなかったが、後にトイレを追加する改造が行われた。そして、ジャワ島の2路線に導入された。

  • バニュビル号(2008年9月19日運行開始, 1編成)
  • カリグン号(2008年12月12日運行開始, 1編成)

3編成のうち1編成は、標準軌のカットメウティア線専用として製造された。 標準軌車も一次車であるが、 クタブラン-ムアラサトゥ線の運行開始と同時に2013年12月9日に運行を開始した。車両番号は、「K3 3 13 09 - K3 3 13 10」となっている。

  • カットメウティア線(2013年12月9日運行開始, 標準軌車, 1編成)

二次車(KRDI generasi 2)

2編成の導入が成功したことを受け、ジャワ島に4編成、スマトラ島に4編成の非冷房車の増備を決定した。 (既存の1編成はカットメウティア線用)。 二次車では、進行方向に合わせて座席が向かい合わせに配置され(クロスシート)、トイレも設置された。二次車は、以下のジャワ島の路線に1編成ずつ投入された。最終的に合計5編成となるグループである。

  • ブロラ・ジャヤ号(2009年10月15日運行開始)
  • マディウン・ジャヤ号(2009年12月19日運行開始)
  • アディスマルモ国際空港線(2019年12月29日運行開始)

スマトラ島に初増備された車両はセミヌン号に投入され、2010年1月13日にランプン州のタンジュンカランからコタブミの区間で運行が開始された。北スマトラ州では1編成が導入され、2010年2月16日にスリ・レラワンサ線で運用を開始し、スマトラ島に投入された編成は最終的に2編成となった。

  • スリ・レラワンサ線(2010年2月16日運行開始)
  • セミヌン号(2010年1月13日運行開始)

三次車(KRDI generasi 3)

PT KAIが新型車両を冷房車にする方針に沿って、2010年から2011年にかけて、エアコンを搭載した客車列車が導入され、ボゴウォント号とガジャウォン号が登場した。ドアの数が3個から2個へ変更された。運輸省は、エコノミー冷房客車の提供に加えて、エアコンを搭載した青い塗装の三次車が投入された。三次車は、ジャワ島に2編成、スマトラ島に1編成が投入され、以下の路線に運行された。最終的に3編成となるグループである。

  • マディウン・ジャヤ・エクスプレス(2011年6月20日運行開始)
  • セプ・エクスプレス(2011年8月25日運行開始)
  • ウェイ・ウンプ号(2012年2月1日運行開始)
  • アディスマルモ国際空港線

四次車(KRDI generasi 4)

四次車では正面に2つのサイドウィンドウの追加と前照灯の変更により、デザインが主張的になった。 ジェンガラ号専用として2編成が投入され、タリク – シドアルジョ鉄道線で運行される。当編成は、2014年11月12日に運行開始された。最終的に2編成となるグループである。

  • ジャンガラ号(2014年11月12日運行開始, 2編成)

運用

当形式が好評ではあったが、運用実績が常に好調ではなく多くの車両は休車にせざるえなかった。高額な保守費用に加え、作業が複雑なため車両工場に回送されたり、PT INKAのメーカー工場にて検査が必要となっていたからである。さらに、保守マニュアルではこの点についての説明が理解しにくく、編成の多くが休車となることとなった。

一次車が投入されたバニュビル号も乗車率の低下と相まって当形式の休車の影響を受けることとなった。スマラン - ソロ・バラパン間の運用が2011年3月31日に完全に廃止された。バニュビル号はその後、2023年6月1日に復活しガペカ2023号の運行に合わせ、エグゼクティブ客車とエコノミー客車を使用することなった。

2012年8月13日には、アルジュナ・エクスプレスとケルド・エクスプレスでME201系気動車と共に運用されていたが、アルジュナ・エクスプレスは乗車率が低いため2012年11月27日に運行停止となった。アルジュナ・エクスプレスも2013年11月4日に元マディウンジャヤ編成(非冷房車)を転属して復活したが、長距離運行する頻繁に故障したため、2014年半ばや2015年後半では運用停止となった。頻繁な故障により、同列車は2016年1月から運行停止した。修理が完了すると同編成はソロ・バラパン車両基地に回送され、実質的にはプラメックスの予備編成となった。

冷房車である三次車でも車両損傷により、マディウン・ジャヤ・エクスプレスが2016年3月中旬に運行を停止した。一方、エプ・エクスプレスや、ブロラ・ジャヤ号が廃止され、2016年10月4日付けでアンバラワ・エクスプレスに置き換えられた。ブロラ・ジャヤ・エクスプレスは2017年7月5日から運行を再開しているが、アンバラワ・エクスプレスの休止中の列車を使用している。

SuPor (現在の SuPas) と SuLamローカル列車で運用する予定でしたが、最終的に車両整備がなされたのは1編成 (元マディウン・ジャヤ編成 ) のみで、もう1編成の非冷房車 (元セプ・エクスプレス編成) は現在、ジョグジャカルタ車両センターに留置されている。

PT KAIは2018年のレバラン帰郷期間を迎えるために、ディヴレ事業部では「元セプ・エクスプレス編成 元ウェイ・ウンプ編成」併結され8両固定編成となった。ランプン州での運行中、故障によって機関車に牽引される問題から逃れることができなかった。 ウェイ・ウンプ編成(青)は最終的にジャワ島に戻され、ジョグ・ジャカルタ国際空港線に転属された。元ウェイ・ウンプ編成が修理後はバティックをモチーフにした緑の塗装へ変更された。元アルジュナ編成も冷房車ではあったが、同じ塗装に変更された。 2019年12月1日現在、ビジネスクラス客車列車を運行したことを受けて、セミヌン号とウェイ・ウンプ号の列車が運行が停止された。

北スマトラ州では、スリ・レラワンサ線での運用で故障した場合、ディーゼル機関車が牽引のビジネスクラス客車列車へ変更される。

2025年2月1日のGAPEKA 2025の実施以来、当形式の運用地区は2つとなっている。 スラバヤ地域事業部では、アルジョネゴロ線とジェンガラ線 (一次車と三次車の1編成と、四次車の2編成) を運行されている。一方、ジョグジャカルタ地域事業部は ジョグ・ジャカルタ国際空港線用に(二次車1編成と三次車2編成) が運行されている。さらに、ミナンカバウ・エクスプレスの予備編成として、スマトラ地域事業部(旧セミヌン編成の二次車1本)と配置されている。

ギャラリー

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備考


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